富山大学COC+関連地域課題解決科目講義レポート

授業科目名:人文学部「人文地理学実習3」構想発表会

開講学期曜限:2017年前期・火曜3限 7月29日

調査プランと仮説の設定、調査協力者へのコンタクト 場所:人文学部 第4講義室

地域の人々や地域の実態としてどんな問題を抱えているのか。  人文学部人文地理学分野の3年生は鈴木晃志郎准教授の指導の下、舟橋村を中心とする上市地域一帯を調査地域としたフィールドワークを行っています。 この授業は仮説を立て、実地調査の企画から報告書の作成に至る地域調査の全過程を体験的に学び、地域調査の知識・技能・応用力・倫理観・説明能力を身につけることを目的としているものです。 7月29日に行われた発表会では、今春から準備を進めてきた学生8名が、それぞれの設定したテーマや調査方法について紹介しました。  「日本一小さな村」で知られる舟橋村は、富山市のベッドタウン化が進んでいる影響で人口・世帯数ともに大幅に増加。特に年少(15歳未満)人口の割合は全国トップクラスにあります。こうした地域的性格を踏まえて、学生たちも、子どもの生活を「食育」や「安全」「子育て」という視点で考察したものや、「高齢者の暮らし」「村内外の移動手段」「住民の防災意識」に着目したものなど、様々な観点で調査活動に取り組んでいます。 発表後の質疑応答では、テーマに対する素朴な疑問や調査方法に対する厳しい指摘などもあり、真剣味のある意見交換が行われました。 「着眼点や課題に対する切り口は、まだ整理されていないところが多々あり、また目的と予想される結果にちぐはぐな部分もみられますが、今回の発表会は、次の問題点の発見につながる良い機会になったはずです」と鈴木准教授は大きな期待を寄せています。 「子育て」をテーマに選んだ野口晴菜さんは「舟橋村は村外からの転入や、子育てに力を入れているので、共働き家庭の女性がどのように働いているかに興味を持ちました。個人情報保護の観点から調査の難しい部分もありますが、役場や保育所・小学校なども協力していただけるのでありがたいです」と話してくれました。 学生たちは今回の発表で得たアドバイス等を踏まえてブラッシュアップを重ね、夏休みには現地で合宿をしながら、さらに調査活動を実施。11月に調査結果を発表し、成果を2017年度末までにレポートとしてまとめることになっています。

 
主な発表内容
テーマ:舟橋村の現状と課題

 昔から住んでいる高齢者と移り住んできた高齢者の間には地域社会への参加傾向と参加意識に差があり、各々が異なる社会関係を構築している。  老人クラブでインタビューしたところ、クラブの加盟者は古くからの住民が9割を占め、移住してきた人の参加率は極めて低いことがわかった。なぜこれだけ明確な差があるのか、今後も調査を重ねていく。

テーマ:「安全に暮らせるまちづくり」の考察

舟橋村は「安全に暮らせるまちづくり」を掲げているが、本当に安全なのかを考察する。当初は「子ども110番の家」を起点に考えたが、明瞭な傾向がみられなかったため、見守り活動にテーマの切り替えを検討中。見守りの活動場所は20年間で変化していることから、予備調査として駐在さん、教頭先生などにもインタビューを実施した。その変遷をたどりながら課題を見つけていきたい。

テーマ:「子育て支援」 

「子育て支援センター ぶらんこ」の利用者にアンケート調査を実施。比較対象として、近隣の富山市、立山町などの現状についても調査したい。